街灯が充電スポットに変身。英シーメンスがロンドンに「電気自動車のための通り」設置へ

普及を左右する要素の一つが充電のしやすさだ。英国では、ドライバーの約3分の1がハイブリッド車または電気自動車を購入したいと思うが、そのうちの40%が充電スポットの不足から断念しているという(※1)。これを解決するアイデアとして、スウェーデンやイスラエルでは、電気自動車が走りながらワイヤレス充電できる道路を設置する試みが行われている。

今回、ロンドン中心部のウェストミンスター地区に、英国初の「電気通り(Electric Avenue、W9 )」が誕生した。先述の例のように走るだけで電気を充電する、というものではなく、全長800mの住宅街にある24本の街灯が電気自動車とハイブリッド車の充電スポットに変身したのだ。

街灯という既存の都市インフラを使用するため、設置やメンテナンスのコストを削減でき、誰でも家にいる間や職場で働いている間に車の充電ができる。

この通りを手がけたのは、ドイツの情報通信機器などの製造大手シーメンス社と、同じくドイツのubitricity社。ロンドンのサディク・カーン市長が進める大気汚染改善プロジェクトから資金提供を受け、これまで市内の1,300か所以上に空気をクリーンにするための設備を完成させてきた。今回誕生した「電気通り」に隣接する2本の道も、今後数週間以内に同じような通りに生まれ変わる予定だ。

シーメンスのスマートインフラストラクチャを率いるセドリック・ニーケ氏は、「ロンドンの大気汚染の半分は道路輸送が原因であり、ウェストミンスター地区は特に混みあっています。一晩でこの問題を解決するのは難しいですが、今回完成した電気通りは、既存の都市インフラを活用して何ができるかを示す重要な事例となるでしょう。」と述べる。ウェストミンスター地区は、2021年までに充電ポイントを1,000か所整備することを目標としている。

電気自動車の普及を促進するべくロンドンにつくられた「電気通り」は、都市の大気汚染問題を解決する手段のひとつになるだろう。これからの展開に期待したい。

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