SDGsランキング、独自計算すると日本は「54位」(下)

「SDGsランキング、独自計算だと日本は54位(上)」で、各国別のSDGsランキングを独自の手法で計算してみました。SDGsギャップ率の順位が高く、かつ比較的SDGsスコアも高い国が、真にSDGsが進んでいる国であり、世界の国々が参考にできる事が多いはずです。(オルタナコラムニスト・西村敏之)

「真のSDGs先進国」とは
「SDGsギャップ率」ランキングの1位はキルギス共和国になりました。2位にタジキスタン、3位モルドバ、4位にベトナムです。

この中で、SDGsギャップ率ランキング1、3、4位はSDGsスコアも上位3分の1に入るため、世界の国々が参考にするところが多い「真のSDGs先進国」です。3か国に共通して言える事は、それらの国が位置している地域の他の国々に比べ、より平等であること、ガバナンスがしっかりしている事、インフラを整えている事です。

SDGsのスローガン「誰一人取り残さない」の原則を守ろうとしているからこそSDGsギャップが高いと言えます。活動例をあげると、キルギス共和国は2014年にGMO(遺伝子組み換え作物)の販売及び輸入の100%禁止を決定しました。健康と国内農業に対して配慮したものと思われます。

モルドバは2019年、国連欧州経済委員会が作成したジェンダー平等考慮宣言に著名しました。ジェンダー平等に対する高い意識の表れだと思われます。

ユネスコは今年7月、ベトナムのクーラオチャム生物圏保護区で、海洋プラスチック問題を解決するためのアイデアを若者から募るプログラムを実施すると発表しました。海をプラスチック汚染から守ると共に、若者の労働問題の解決にもつながる取り組みです。

ベトナムは3つの目標をすでに達成
この3国の中、日本とも縁が深いベトナムの結果についてさらに詳しく見ていきましょう。特筆すべきは目標を達成したことを示す「グリーン」のゴールが3つもある事です。

4ゴール以上「グリーン」を達成している国はわずか6か国しかないので、ベトナムのSDGsスコアが高い(49位/166か国中)のもうなずけます。

グリーン評価のゴールは、ゴール4「質の高い教育をみんなに」、ゴール12「つくる責任、つかう責任」、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」です。特にゴール4「質の高い教育をみんなに」が「グリーン」であることに注目して下さい。

このゴールはSDGsスコアとの相関が高いうえに、同じく相関が高いゴール1「貧困をなくそう」、ゴール3「全ての人に健康と福祉を」、ゴール6「安全な水とトイレを世界中に」、ゴール7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」と高い正の相関関係を持ちます。

ベトナムはこれらゴールの評価がまだ低いですが、全て上昇傾向です。ベトナムは先行して教育に投資を行い、その成果が様々なところに波及しているため、SDGsのスコアが高いというのが真の理由だと考えられます。

この先ゴール1、3、6、7の評価が上がる事が期待されますので、ますますSDGsスコアも上がるでしょう。気になるのはOECD諸国が苦手なゴール12「つくる責任、つかう責任」、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」の2つがグリーン評価という事です。

GDPが増えるとこの2つのゴールの評価が下がる危険があるため、ベトナムに期待されることは、ゴール12、13の評価をキープしつつSDGsのスコアを上げる事であり、それを達成すれば世界の注目の的になると思われます。

SDGインデックス&ダッシュボードの弱みは古いデータを使わざるを得ない事です。新しく・正しいデータの入手については、レポートを作成している側もエグゼグティブサマリーに上げている重要な問題点です。正しく進捗を図るためにもデータ入手と活用に関する社会起業家が出てくることを期待しています。

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